「やっと分かった」
「何が?」
「この映画はなぜ面白いのか、という理由だ」
「それはなんだい?」
「出てくる大人が全員が負け犬だからだ」
「は?」
「つまりさ。必ず勝つヒーローなんて面白くないわけだ」
「え?」
「いいかい。この映画は、35戦隊が出てくるが、ゴーカイジャー以外の戦隊は変身能力を失っている。いわば敗者なんだ。だから、敗者の代表であるゴセイジャーは勢いがある。その勢いでレンジャーキーを奪いに来る。敗者である以上、ゆとりはないのだ」
「そうか」
「では、ゴーカイジャーは勝者かといえば、そうでもない。それぞれが過去に負けた歴史を背負っているからだ。しかも、ゴセイジャーにはまんまとレンジャーキーを奪われる」
「なるほど」
「敵であるザンギャックもゴーカイジャーに勝てない甘ちゃんの大将を抱えて勝てない負け犬だ」
「わははは」
「黒十字軍の亡霊も、やはり負け犬の亡霊だ」
「みんな、まさに負け犬だね」
「だからさ。かつでのヒーロー達がバリブルーンの玩具持ってたおっさんを励ます言葉に説得力が出てくるんだよ。みんな負け犬だけど、一生懸命生きているんだ」
「そこがポイントだね」
「そうだ」
「いつも何となくパターンで勝ってる若造が知った風なことを言っても説得力が無いわけだね」
「だから、デンジマンが出たことよりも、デンジパンが出たことの方が重要度が高い」
更に気付いたこと §
「デンジパンってのは、ライダーの『イカでビール』に対する戦隊側の返歌なんだね」
「『イカでビール』って何?」
「ムービー大戦2010で、イカでビールが出てきて、死神博士になってしまう」
「は?」
「だから、死神博士はイカデビルなんだよ」
「そうか。だから、返歌は食べ物なんだね。だからパンなんだね」